車椅子がターンテーブルになる

障害者福祉の分野で急激に進められているのがIT技術の応用です。
もともと医療とITは非常に相性のよい組み合わせであり、既に遠隔地での往診や検査には技術が実用化されています。

身体に障害がある人のための医療IT技術として代表的なのがロボット関連の技術で、介護・福祉器具にアンドロイド型のスーツが使用されるなどの例があります。

そんな幅広い技術分野の中でもユニークな発明といえるのが、車椅子でDJになれるという福祉器具です。

参考サイトはこちら→車椅子DJ!?アート&テクノロジーの力で、福祉用具に革命を

これは車椅子のタイヤ部分が回ることで音楽が鳴るようになっているという機器で、前後に移動をさせることにより、まるでDJのターンテーブルのように音楽をアレンジすることができます。

この発明を考えたのは立命館大学映像学部の望月研究室で、車椅子を使用しているダンサーからの要望を受けて開発をしました。

既にこの機器を用いて舞台でパフォーマンスも披露されており、2015年の「超福祉展」では試乗品が展示され大きな話題になりました。

この製品の画期的なところは、福祉とアートを融合させているという点です。
実用器具である車椅子にアート器具を組み合わせることにより、車椅子に乗るということに新たな楽しみとなり、また新たな芸術を創り出すきっかけになります。

とかく「かわいそう」な目で見られがちな福祉分野において、こうした独自の楽しみをテクノロジーによって追加することには大きな意味があります。

パラリンピックでも取り組みが進められています

障害者福祉の現場にとって大きなイベントとなるのが2020年の東京パラリンピックです。
近年ではオリンピック以上に盛り上がりを見せることもあるパラリンピックですが、この東京大会ではより一般の人に理解を深めてもらうために、多くの企業や研究室がイベントを企画しています。

その中の一つが「三井不動産スポーツアカデミー for TOKYO2020」で、大会組織委員会と協力をして健常者に車椅子を体験してもらったり、有名なパラリンピアンを招いて競技を行ったりといった取り組みをしています。

パラリンピックの魅力は通常のスポーツと異なり、最先端の機器を用いてダイナミックな競技をすることができるということです。

今後も2020年の大会本番に向けて車椅子やその他の福祉器具についての意識を高めてゆき、より多くの人にパラリンピックを楽しんでもらえるようなイベントが多く行われていくことでしょう。

福祉器具への理解を一人でも多く深めていくことが、社会全体にダイバーシティとされる多様化を実現することにもつながっていきます。