作業療法士の仕事内容
作業療法士とは、病気や事故などにより心身の障害ができてしまった人や、先天的に体の機能が部分的に制限されてしまっている人に対し、作業活動を通じて自立した生活ができるようにしていく訓練をするための仕事です。
よく似た仕事として「理学療法士」がありますが、この二つは密接に関係をしており、リハビリテーションセンターでもそれぞれが協力をしあって一人の患者さんを担当していくことになります。
理学療法士の場合、担当をするのは歩行や立ち上がり、ものを持ち上げるといった基本的な動作であるのに対し、作業療法士は日常生活で発生する「作業」ができるようになることを担当します。
具体的にはお箸を持ったりボタンをはめたり、靴紐を結んだりといったようなことです。
自立をした生活をしていくためにはそうした細かい作業を自分でできるようになることが必要なので、作業療法士は患者さんに対し手芸や折り紙といった作業を行わせることにより、作業機能の回復を目指していくことになります。
作業療法士になるには
作業療法士は国家資格となっていることから、従事するためにはまず先に専門課程のある学校に進学をし、必要な学科を修了します。
全ての専門課程が終わったところで国家試験の受験資格を得ることができるので、卒業年度に合わせて試験を受け、そこから就職を目指していくことになるでしょう。
養成課程は最低で3年となっており、高校卒業以上の学歴のある人が入学をすることができます。
大学や3年制短大でも養成課程を設置しているところがありますので、そちらでも同様に国家試験の受験資格を得ることが可能です。
国家試験の合格率は約87%程度となっているので、他の医療系資格と比較をしてもかなり高いと言えるでしょう。
合格後は作業療法士免許を取得することができるので、一般病院や精神病院、小児病院、リハビリテーションセンターといった医療関連施設、もしくは老健などの介護施設に就職することになります。
今後の作業療法士としての仕事の展望
作業療法士は社会的に需要のある資格となっていますが、他の医療関連資格と比較して、やや人材は余っているというふうに言われています。
これは医師や看護師のような緊急性がなく、就職後の離職率が低いことからあまり退職をする人がおらず、人材が安定的に供給されているからです。
しかし高齢化社会の中では高齢者向けの介護施設でのリハビリテーション業務は多く行われるので、そうした分野での就職にチャンスがあると言えるでしょう。
作業療法士は専門的な資格ですが、長期的に仕事をしていくことを考えるのであれば、理学療法士など近い分野の資格を取得するダブルライセンスでの勤務が勧められています。